居場所を作る、を最初に教えてくれたのは誰だったか

澪音

今の私は、一人で暮らしています。仕事を終えると、行きつけの店のカウンターの端に座ります。頼むのはいつも、ほうじ茶。誰にも話しかけられず、誰にも話しかけなくていい席です。自宅の部屋に帰る前に、ここで一度、気持ちを降ろす。いつのまにか、それが私の習慣になりました。

この習慣のいちばん古い形は、祖母の部屋にあります。

子供の頃の私は、人の気持ちが勝手に流れ込んでくる子どもでした。教室にいるだけで、誰かの不安や苛立ちが、自分のもののように胸に溜まっていく。思い切りはしゃいだ記憶は、ほとんどありません。

そんな私を、祖母は理由も聞かずに自分の部屋へ入れてくれました。窓際に座布団を一枚置いて、「ここにいなさい」。それから、こう言うんです。「また人の分まで背負ってるんでしょ?」図星でした。「それ、あんたのじゃないんだから。ここに置いていきなさい」

祖母は私の隣に座り、背中に手のひらを当てたまま、自分の繕い物を続けました。慰めの言葉は、ひとつもなし。あの手の温度が、祖母なりのスキンシップでした。寄り添うって、実はそれだけのことなんですよね。

私が鑑定で「気持ちの居場所を示す」と言うとき、思い浮かべているのは、あの座布団です。気持ちは、解決しなくていい。言葉にしなくていい。置いていい場所があれば、呼吸は戻ります。

大人になってから、恋がうまくいかなかった夜に、ホテルの個室を取ったことがあります。自宅の部屋は思い出が多すぎて、誰にも会いたくなかった。鍵のかかる静かな部屋が、あの夜の座布団でした。1人になれる場所は、逃げ場ではありません。気持ちを置き直すための場所です。

今夜、部屋の一角を「何も考えなくていい場所」にしてみてください。座布団一枚で足ります。もし身近な誰かが落ち込んでいたら、答えを探す前に、隣に座って、肩にそっと触れてみてください。それだけで、届くものがあります。

あなたの気持ちにも、ちゃんと居場所を作ってあげてください🍵

この記事を書いた人

澪音

霊視で鑑定しています。 「見ようとしなくても、見えてしまう」この力は祖母から受け継ぎました。以前はコールセンターで管理職をしていて、たくさんの人の声に向き合ってきました。 ブログでは占いのことや、日々の暮らしで感じたことを綴っています。気軽に読んでもらえたら嬉しいです。